ダークな蒸し饅頭

ほわほわの蒸し饅頭。
見ているだけで癒されませんか。
でも実は、ちょっとダークな気持ちで作ったもの。
台所の時間は、いつも楽しいわけではないですよね。
本日は、私のささやかなストレス解消法、和菓子作りをご紹介します。
自分の中に不穏な空気が広がってしまった時、
作るのはこのほわほわの蒸し饅頭です。
悩む時間はできるだけ短くしたいと思いながらも、
心に重くのしかかる些細な出来事があった。
いつもは気にならないのに、なんて気づいてしまったら最後。
そういえばあんなこと言われたな、などと、
過去の全く関係ないことまで思い出して、
何をやっても落ち込んでしまう時があります。
少し落ち着いたタイミングで思い出すのが、せいろで蒸かすお饅頭。
生地をこねて、あんこを丸めて、優しく包む。
その過程が良いのです。
静かに手を動かしているうちに、外に向いていた気持ちが、気持ちがそっと帰ってくる。
できたての温かさと、あんこの優しい甘さが心をほぐしてくれます。

おなかにあたたかく残る背徳感も、このときばかりはプラスに働きます。
食べちゃったら生きないと。
身体に優しいシンプルな素材とは言え、
それなりに糖分もありますから、消費しないとまずいわけです。
不穏な空気の中はじまった、蒸し饅頭づくり。
不釣り合いな組み合わせのおかしさを振り返ると、
まあいいかと思えてしまいます。
何もしたくなかったはずなのに、蒸し時間に
お茶を入れようとか、夕飯の下ごしらえもしちゃおうとか、
心が自然と日常に戻っていることにも気づきます。
きっかけがあれば案外動きだせるのです。
余裕のない時こそ寄り道を。
30分間でできる、私なりの心の余白づくりです。
そういえば知り合いは、イライラすると、包丁を研ぐと言ってたような・・・
怒らせないようにしないと。

最近読んだ本をご紹介します。
『料理の意味とその手立て』ウー・ウェン
ウー・ウェン先生のクッキングサロンを覗いているような気持ちになれる一冊です。
私は、「なぜ料理教室をするのか」ということを、度々自問自答しているのですが、
改めて考えるきっかけになりました。
当たり前のことでも、言葉にしてみることは大切。
やっぱりそうだよね、と自信がついたり、
安心するきっかけになります。
例えば野菜の蒸し方は、習うまでもないかもしれませんが、
よく観察すると、こだわりやポイントがたくさん見えてきて、
さらには大切にしている心構えもあるなと気づきます。
私は台所の風景を、どれだけでも深堀りできる自信がありますし、
豊かさにつながると心から思っています。
そう自分で言っておきながら、お伝え出来ていない部分がたくさんあると気づきました。
明日からさっそく取り入れてみます。
料理教室の自己評価と、生徒さんの満足度は同じではないところが、怖くもあり、おもしろいところ。
その時のベストを積み重ねて、少しずつ成長していくのが、kitoteの料理教室です。
台所に立つ時間は、鏡のように私を映してくれます。

